秋の養生法

年英堂治療院 秋の養生法 セルフケア

季節が夏から秋へと移り変わると、朝晩の空気がひんやりと感じられるようになります。
東洋医学では、自然界の変化と人の体は深くつながっており、季節に合わせた暮らしが健康を保つために欠かせないと考えられています。

ここでは、年英堂治療院がおすすめする秋の養生法をご紹介いたします。

東洋医学における秋の養生法

熟して、実り、安定する季節

秋は空気が乾燥し、気温が徐々に下がる季節です。
天の気は上昇し、まるで金属のように清く澄んで収斂するため、空は高く空気は清々しく、風の音は力強くなります。
地の気は下に向かい、湖は澄み、枯れ葉が舞い落ちて実を結ぶ――美しい時期です。

『黄帝内経・素問』には、秋の三か月は「容平(ようへい)」の季節と記されています。
容は形を意味し、夏の成長がとまり調整するという意味があります。

自然界のすべてが熟して実り、落ち着きを取り戻すとき、人間も天地にみなぎる陽気を体内に深く取り込む時期なのです。

年英堂治療院 秋の養生法

「早寝早起」

春と夏は多少夜更かししても良いとされますが、秋は早く寝ることが大切です。
また、朝は鶏の鳴き声とともに早く起きるのが理想です。
陰の気が強まり陽の気が衰えるため、早く寝ること自体が気を養うことにつながります。

実際の目安としては、鶏の生活を参考にしてみましょう。
鶏は日が暮れると休み、朝日が昇ると活動します。
人の気も朝5時から6時ごろに開き始めるので、この時間に起きるのがちょうど良いと考えられます。
昼が短く夜が長くなるにつれ、夏よりも活動時間を減らし、睡眠を多くとることが望ましいでしょう。

年英堂治療院 秋の養生法

五行では「肺」の季節

中医学の五行説では秋は「肺」の気が影響を受けやすいと考えます。

春は気が生まれ、夏は成長し、秋は収斂しゅうれんする――この自然の規則に逆らう生活をすると、肺の気を傷つけやすくなります。
秋に肺をしっかり養えないと、冬に体調を崩す原因になるとも言われています。

また陽気が下がり始めるため、病気への抵抗力もやや弱まります。
昼夜の温度差が大きく、昼間は太陽が燦々と照っていても朝晩は冷え込むため、風邪をひきやすい時期です。
食べ物などに気を配り、肺を乾燥させないようにしましょう。

ただし夏の湿気が残っている場合、乾燥が加わることで湿った熱に変化し、肺を阻んで咳を引き起こすことがあります。
冬に向けて陽気を蓄えるためにも、この時期に体を整えておくことが大切です。

心静かに過ごす

秋は感情も「収斂しゅうれん」を意識します。
この季節は物寂しく、古代中国では秋に刑を執行することが多かったとも言われます。
自然界が枯れゆく姿が、人の命の終わりを連想させたからです。

陰陽でいうと、春夏は陽、秋冬は陰に属します。
陰の気が深まると気分も落ち着き、次第に安定してきます。
特に肺に不調がある人は、心を穏やかに保つことが症状を和らげる助けになります。

穏やかな気持ちでいることで、心と体の中の陽気が調和し、気を体の中に収めることができます。
心は体と一体――この心のあり方こそ、寒暖差の激しい秋を乗り切るコツといえるでしょう。

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秋におすすめの味

中医学では秋は「燥邪」の季節。
乾燥した空気は肺を傷め、咳や痰が出やすくなります。
この時期は、痰を取り除き肺を潤す「辛味(からみ)」の食材がおすすめです。

ネギやナッツ類なども良いでしょう。ただし取り過ぎには注意が必要です。
「天高く馬肥ゆる秋」といわれるように、美味しいものがたくさん出回る季節。
しっかり味わいながら、自然に逆らわない生活を心がけてください。


年英堂治療院では、季節ごとの養生や施術のご相談も承っています。
体調の変化を感じたときは、どうぞお気軽にご相談ください。