現代医学の穴~東洋医学は補完できるのか?
現代医学は、科学的根拠に基づいて診断・治療を行う「EBM(Evidence-Based Medicine:根拠に基づく医療)」を基盤として発展してきました。
検査や研究によって裏付けられた治療法を用いることで、感染症や急性疾患、命に関わる病気の治療成績は飛躍的に向上しています。
この点において、現代医学が私たちの健康と命を守ってきた功績は疑いようがありません。
しかし一方で、臨床の現場では次のような声も少なくありません。
- 検査では異常がないが、つらさは確かにある
- 治療を続けているのに、すっきり良くならない
- 「様子を見ましょう」と言われ続けて不安が残る
こうした場面に直面したとき、「EBM(通称:エビデンス)」は万能なのでしょうか。

「根拠がある医療」は万能なのか?
エビデンスがあること自体は、医療において非常に重要です。
再現性があり、多くの人に同じ効果が期待できるという点で、EBMは医療の安全性と質を高めてきました。
ただし問題は、「エビデンスに当てはまらない人」が一定数存在するという点です。
臨床研究は、条件を揃えた集団を対象に行われます。
そのため、体質・生活環境・ストレス・体力差といった個別要因は、どうしても平均化されます。
つまり、
- データ上は正しい
- ガイドライン上は適切
であっても、目の前のその人にとって最適とは限らないケースが生まれるのです。
東洋医学は「エビデンスが乏しい医療」なのか
東洋医学はしばしば
「エビデンスがない」「科学的でない」
と言われます。
確かに、東洋医学はもともと個人差を前提とした医療です。
- 体質
- 体の巡り
- 季節や環境
- 生活習慣や精神状態
これらを総合的に捉えるため、
一律の数値や指標で評価することが難しいという側面があります。
この点は、現代医学的な評価軸では「弱点」に見えるかもしれません。
しかし裏を返せば、
「EBMからこぼれ落ちやすい不調」こそが、東洋医学の得意分野とも言えます。
現代医学と東洋医学は「対立」ではない
重要なのは、
現代医学と東洋医学を対立構造で捉えないことです。
- 急性期・命に関わる治療
- 明確な病変や異常があるケース
これらは、現代医学が圧倒的な力を発揮します。
一方で、
- 病名がつかない不調
- 慢性的なだるさ・冷え・疲労感
- 数値には出にくい体調の変化
こうした領域では、東洋医学的な視点が役立つ場面が少なくありません。
両者は競合するものではなく、
役割の異なる医療と考えていく方が、より建設的です。
「補完医療」という考え方
東洋医学は、代替医療の一つといわれていますが、現代医学の代わりにはなりません。
むしろ、現代医学が手薄になりやすい領域を「補完する医療」として、大きな可能性を持っています。
- 画像では異常が見えない
- 数値では説明できない
- それでも本人は確かにつらい
こうした「はざま」の部分に目を向けることが出来るのが、東洋医学だからです。
本記事は
「現代医学の穴~東洋医学は補完できるのか?」シリーズの第1回です。
このシリーズでは、現代医学の抱えるテーマを通し、
現代医療と東洋医学の関係をもう少し掘り下げていきます。
次回は、画像診断(レントゲン・CT・MRIなど)が持つ利点と限界について解説します。

