ひざ痛の原因とセルフケア
「年齢のせいだから仕方ない」
「軟骨がすり減っていると言われた」
ひざが痛むと、そんな言葉で片付けられてしまうことが少なくありません。
しかし、ひざ痛は年齢や軟骨の問題だけで決まるものではありません。
実は、日常の体の使い方や、動かし方のクセによって、
痛みが出やすくもなり、逆に軽くもなります。
この記事では、
ひざ痛が起こる理由と、
膝を触らずに行うセルフケアの考え方、
痛みを悪化させない動かし方について解説します。
ひざ痛はなぜ起こるのか?
人間の歩き方と膝への負担
人間は直立二足歩行をする唯一の動物です。
かかとを地面につけ、膝を伸ばして立ち、歩く。
この歩き方は効率的ですが、その分膝関節に直接体重がかかる構造になっています。
四足動物のようにつま先で体重を分散できないため、
人間の膝は常に負担を受けやすい関節なのです。
膝の内側に集中する体重の仕組み
股関節の位置から地面へ垂直に線を下ろすと、
体重は膝関節のやや内側にかかります。
このため、膝の内側の軟骨は外側よりも早くすり減りやすく、
中高年になるとO脚傾向が強くなっていきます。
これが、いわゆる変形性膝関節症の始まりです。
年齢や性別で起こりやすい変化
特に中年以降の女性では、
加齢やホルモンバランスの変化、骨密度の低下などが重なり、
軟骨や骨が弱くなりやすくなります。
その結果、膝に負担が集中し、
痛みや変形が目立つようになります。
ひざが変形しても痛くない人がいる理由
痛みと変形は一致しない
レントゲンで見ると、
かなり変形しているにもかかわらず、
「まったく痛くない」という方も少なくありません。
逆に、変形が軽度でも強い痛みを感じる方もいます。
つまり、
変形の程度=痛みの強さ
ではないのです。
関節を動かさないことが痛みを生む
痛みが出ると、人は自然と膝をかばいます。
- 動かさない
- 体重をかけない
- 曲げ伸ばしを避ける
すると、膝関節の中で作られる「関節液(潤滑液)」が減ってしまいます。
この関節液が不足すると、
関節の滑りが悪くなり、さらに痛みが出やすくなります。
関節液と膝の滑らかさ
関節液は、
関節を動かすことで分泌が促される性質があります。
つまり、
動かさない → 痛い
ではなく、
「動かせないほど痛い状態をどう作らないか」
が重要なのです。
ひざ痛改善の基本は「痛みを減らして動かす」
まず痛みを我慢しない
「痛くても動かしたほうがいい」
そう言われて、無理に動かしてしまう方がいますが、
これは逆効果になることもあります。
大切なのは、
我慢して動かすことではなく、動かせる状態を作ることです。
膝を触らなくてもできるケアの考え方
ひざ痛のセルフケアというと、
膝を直接揉んだり、押したりするイメージがあるかもしれません。
しかし、
痛い場所を触らなくても体は変化します。
体には、離れた場所同士が影響し合う仕組みがあります。
この考え方を応用すると、
膝に触れずにケアすることも可能です。
動かせる状態を作ることの大切さ
まず痛みを和らげる
→ 膝が少し動く
→ 動かすことで滑りが良くなる
この流れを作ることが、
ひざ痛改善の基本になります。
自分でできるひざ痛セルフケア方法
痛い場所を直接触らないケア
ここで紹介するセルフケアは、
膝に直接触れずに行う方法です。
本来は専門的な施術で用いられる考え方を、
自分でも行いやすい形に簡略化したものです。
前腕を使った簡単セルフケア例
右ひざの前面に痛みがある場合を例にします。
- 左腕(ひざ痛と反対の手)の肘を曲げ、左手の掌を体側に向ける
- 手首の親指側のくぼみと、肘の外側のしわの先端のくぼみを結ぶラインを探す
- そのライン上で手首と肘の真ん中にあるポイントを探す
- そのポイントを指で垂直に少し強めに押す
- 押したまま、手先方向へグイグイと30回ほど動かす
終わったあと、
膝を軽く曲げ伸ばししてみてください。
違和感の変化を感じる方も多いはずです。
※左ひざが痛む場合は、右腕が押圧ポイントになります。

セルフケアを行う頻度と目安
- 1日1~2回
- 痛みが出る前、または軽いとき
- 強い痛みがある場合は無理をしない
「気持ちいい~少し痛い」程度が目安です。
ひざ痛の人が避けたい運動・注意点
ウォーキングが合わない理由
ひざ痛があると、
「歩いたほうがいい」と言われることがあります。
しかし、ウォーキングは
膝をしっかり伸ばし、
なるべく膝を使わずに歩くのが正しいフォームです。
そのため、
膝関節の運動としては不十分なのです。
膝に必要なのは屈伸運動
膝には、
- 曲げる
- 伸ばす
というシンプルな運動が必要です。
痛みが落ち着いた状態で、
イスに座っての軽い屈伸などから始めると安全です。

痛みが強いときの運動の考え方
- 痛みが強いときは無理に動かさない
- 痛みが落ち着いたタイミングで動かす
- 少ない回数から始める
これが基本です。
症例から考えるひざ痛セルフケアの可能性
右ひざ内側が痛む60代女性の場合
ある日突然、右ひざの内側が痛み出し、
歩行や階段の昇り降りが困難になりました。
膝を直接触らず、
前腕を使ったケアを行ったところ、
痛みが和らぎ、膝を動かしやすくなりました。
その後、
無理のない範囲で屈伸運動を続けることで、
日常生活が楽になっていきました。
成長期に起こる膝の痛み(オスグッド病)
成長期の子どもでは、
膝のお皿の下が痛むケースがあります。
「成長が止まるまで治らない」
「運動は禁止」
そう言われることもありますが、
痛みをコントロールしながら体を整えることで、
状況が変わることもあります。
まとめ|ひざ痛は日々のセルフケアがカギ
ひざ痛は、
単に「年齢」や「軟骨」だけの問題ではありません。
- 痛みを減らす
- 動かせる状態を作る
- 正しく動かす
この積み重ねが大切です。
セルフケアで改善しない場合や、
痛みが強く不安がある場合は、
無理をせず専門家に相談してください。
澁谷 年英
年英堂治療院 院長
あん摩マッサージ指圧師(国家資格)
日本遠絡統合医学会 副理事長
年英堂治療院
https://www.nen-ei.com/
住所:静岡県沼津市原290-6 八郎ビル1階
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