何回通えばいいのか?
「鍼灸は何回くらい通えば良くなりますか?」
これから鍼灸を受けようと考えている方が、まず気になるのが通院回数だと思います。
できれば少ない回数で良くなりたい。
できれば早く楽になりたい。
それはとても自然な感覚です。
実際、症状によっては1~2回の鍼灸施術で大きく変化することもあります。
痛みが軽くなったり、体が軽くなったり、「思ったより早く良くなった」と感じる方も少なくありません。
一方で、そう簡単には変わらないケースがあるのも事実です。
ここで大切なのは、
「症状が消えること」と「状態が安定すること」は、必ずしも同じではない
という視点です。
症状には“合格ライン”がある
仮に、体の状態を100点満点で考えてみましょう。
- 30点:つらい状態
- 50点:不調が続いている状態
- 60点:症状が出ない状態
- 80点:安定している状態
- 90点以上:余裕がある状態
症状には「出る・出ないの境目」があります。
60点を“合格ライン”とすると、
59点では症状が出る。
60点になると、ぱたっと症状が出なくなる。
試験の合格点のようなものです。
たった1点の差ですが、体感は大きく変わります。
「すぐ治った」は、どの位置か
1~2回で症状が消えた場合、それは60点に到達した可能性があります。
しかしそれは、合格点をぎりぎり超えただけの状態かもしれません。
60点は、
- 睡眠不足
- 忙しさ
- ストレス
- 気候の変化
といったちょっとした負荷で、すぐ59点に戻る位置でもあります。
すると、また症状が出る。
「良くなったのに戻った」というケースの多くは、この“合格点すれすれ”で止まっている状態です。
一方で、70点、80点と底上げされていれば、多少の負荷では崩れなくなります。
東洋医学の「未病」という考え方
東洋医学には「未病(みびょう)」という概念があります。
未病とは、
病気ではないが、健康とも言い切れない状態。
60点前後を行き来している状態とも言えます。
症状が出ていない=完全に健康、ではありません。
鍼灸が目指すのは、
「症状が出ないギリギリ」ではなく、
多少の負荷では崩れない、余裕のある状態です。
ここまで安定すると、
- 波が小さくなる
- 崩れても戻りやすい
- 不安が減る
という変化が起こります。
なぜ、ある程度の継続が必要なのか
もちろん、1~2回で十分なこともあります。
それは決して珍しいことではありません。
ただし、
- たまたま調子の波が上向いていただけなのか
- 本当に体の底上げが起きているのか
は、数回では判断がつきにくいのも事実です。
そのため、当院ではまず
「5~6回」ほどを一つの目安として、少しだけ集中してみることをご提案しています。
これで良くなってしまうという目安ではありません。
数回重ねることで、
- 痛みの質が変わる
- 出方が変わる
- 波の振れ幅が小さくなる
- 回復が早くなる
といった「方向性」が見えてきます。
その変化を実感できて初めて、
- 60点で一区切りにするのか
- さらに安定を目指すのか
をご自身で判断できるようになります。

「すぐ良くなりたい」と思う方へ
「できるだけ早く良くなりたい」
それは当然の思いです。
簡単に良くなることもあります。
しかし、そう簡単ではない場合もあります。
体は長い時間をかけて今の状態になっています。
だからこそ、
少しだけ頑張って、体の変化を確かめる期間を持つこと。
それが結果的に、遠回りのようで一番の近道になることも少なくありません。
回数も頻度も、目的ではなく手段
鍼灸は「何回で終わるもの」と決まっているものではありません。
大切なのは、
- 今どの位置にいるのか
- どこまでを目指すのか
を明確にすることです。
また、回数と同じくらい大切なのが「通う間隔」です。
症状が強い時期は、少し間隔を詰めて整える。
安定してきたら、少しずつ間隔を広げていく。
そして最終的には、症状を追いかける通院ではなく、
「未病」の段階で整えるための調整へ。
当院が目指しているのは、
「通い続けなければ不安な体」ではなく、
間隔をあけても崩れにくい体をつくることです。
まずは体の変化を確かめる。
そして、自分が望む状態を選ぶ。
回数も頻度も、その選択のための手段として決まってくるものだと考えています。
澁谷 哲平
年英堂治療院 副院長
はり師・きゅう師(国家資格)
静岡県鍼灸マッサージ師会 副理事長
沼津市鍼灸マッサージ師会 会長
年英堂治療院
https://www.nen-ei.com/
住所:静岡県沼津市原290-6 八郎ビル1階
TEL:055-968-3155

